Photo No. 003


晩秋の奥日光戦場ヶ原。

暗く沈み始めた山腹を背に、傾きかけた午後の陽を受け唐松の一群が輝きはじめる。 湯元から菖蒲ヶ浜につづく遊歩道をはずれ、小田代が原を抜け西ノ湖へ向かう山あいの弓張峠。

メインルートからすでに外れていることもあって、このあたりまでくるともう誰にも会うことがなかった。 ときおり聞こえてくる鳥の鳴き声と梢の間から聞こえてくる風の音以外に何もきこえてこない。 そんな静寂の中、この地の唐松たちは過ぎ行く秋の中に絢爛として佇んでいた。

このシーンは、はからずしもこのレンズの性格をはっきり語っている。 立体感がよく感じられる、緑をはじめとする寒色系の背景と、ともすればややディテールがつぶれ気味の暖色系中心の前面。 前からうすうす気が付いてはいたものの、一つのカットの中ではっきり差がでた。

Lens: Konica Hexanon AR 200mm F4
Specs: F4, 1/15, UV filter
Film: FujiChrome Velvia 50 (RVP)
Date: October 21, 1992
Place: Nikko National Park/Tochigi Pref., JAPAN