Photo No. 007



なんという科の花かわからいなのだけど、いかにも南国の花という雰囲気がとてもよかった。

芯を残しながらもなだらかに、そして画面の隅々まで破綻なく背後が溶けていくような階調の豊かさは絶品だ。

当時まだ高速なコンピューターが開発される以前、光学レンズの設計はとてつもない労力を要した作業だったと聞いている。
そんなこともあって、この当時のレンズたちは皆それなりの癖をもっている。
たとえば銘玉といわれる40mmF1.8は絞らないと描写が締まらなく、そこで絞ると画が堅くなる。
50mmF1.7は画質の高さで知られるが、絞りを大きく開けたときは中心から外れた部分でボケが多少流れる癖がある。

この57mmは当時のこのブランドの標準レンズのフラッグシップを務めたモデル。
開けたときは、溶けるようなボケ味。それでいて50mmF1.7のように背景が崩れることも全くない。
絞れば絞ったで、とても引き締まった画をつくってくれる。
開けて良し、絞って良し、の本当に優等生的にとても良く設計されたレンズだった。

最近のデジタル世代の高解像度、高コントラストを極限まで追求したレンズでは味わえない描写。

Lens: Hexanon 57mm, F1.4
Specs: F1.4, 1/250, SKYLIGHT (1B) filter
Film: Kodak Ektar 100 (CX)
Date: October 25, 2010
Place: Sammakon Villege, Bangkok, THAILAND



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Last Updated on 12:03 P.M. / October 25, 2010.