Photo No. 016


標準ズームが「標準レンズ」になってしまう以前のかなり長い間、50mmが標準レンズだった。
それでも、自分にとっての標準レンズは少し異端な40mmだったこともあって、50mmを使うようになったのはここ数年のことだった。

50mmを使うようになって感じたことは、この50mmという焦点距離は意外に難しい、ということだった。
人の視野の広さという見方からすれば40mmの方がより自然だし、何かものを見つめた時の情景は一昔前のちょっと長めの57mmや58mm辺りのほうがまとめやすい。
両目で眺めた風景の場合など、超広角の24mmくらいの焦点距離のほうがよほどしっくりくることさえあった。

「標準レンズ」焦点距離本来の定義は、フィルムひと駒の対角線長ということになっているが、それだって実際には43mm。
工業製品の最初の規格は、偶然や、時に、ほんの気まぐれで決められてしまうことがよくある。
「標準」と呼ぶには難しすぎる50mmを手にすると、いつもそんなことを考えさせられてしまう。

Lens: Konica Hexanon AR 50mm F1.7
Specs: F8, 1/250, PL filter
Film: Kodak Ektar 100 (CX)
Date: June 15, 2011
Place: St. Louis, Missouri, United States