Photo No. 009


前回に続いて、ジャンクから復活させたうちのHexanon 57mm F1.4の話。

修理にかなり手間がかかったことは前回書いたが、 レンズ設計にコンピューターが本格的に導入される以前のレンズはまだこれが初めてだったので、撮影の最中から結果がとても楽しみだった。

現像からあがってきて、びっくり。

同じレンズで撮った一巻のフィルムの隣どうしの2コマのカットが現像してみると全く違うレンズで撮ったようなカットが幾枚もでてきた。
ある時はカラーバランスが崩れとても使い物にならないカットになったかと思うと、次のカットでは目で見たものより強く濃厚で鮮やかなものになっていたり。
またある時は前のカットではとても柔らかくソフトな印象のものが、次のコマではエッジが立ちバキバキの絵があったり。
いつも想定された正しい一つの答えを出す現代の優等生的なレンズではほぼありえない絵が続いていた。
もちろん悪く言えば失敗が許されないような撮影に安心して使えるシロモノでないということになるのだけど、趣味で撮りに行くならこんな楽しいレンズは今までお目にかかったことがない。

上の一枚は鮮やかな色調を出してきた時の一枚。色補正フィルターの類はまったく使っていない(スキャナーも明暗の調整だけで、コントラストと色調の補正はなし)。
焦点距離が50mmよりちょっと余分にあるためか、標準レンズのものとは思えないほどのとろけるような背景のボケもとても個性的。

Lens: Konica Hexanon 57mm F1.4
Specs: F1.4, 1/30
Film: Kodak Ektar 100 (CX)
Date: May 12, 2010
Place: Rockford, Illinois, United States